精神科診療をしていると経験する河合隼雄の「星座」(コンステレーション)

河合隼雄のいう「星座(コンステレーション)」とは、個々の星は一見すると無関係に配置されているように見えるが、そこに線で結ぶ想像力を働かせることで、オリオン座や北斗七星といった〈意味〉が立ち上がってくる、という考え方である。

精神科診療をしていると、まさにこのようなことに実際に出会う。

「なぜこのタイミングで?」「どうして、いまなのか?」と、その渦中では理解できない出来事が、すこしあとになって冷静に巨視的に、星――つまり個々の出来事――を眺めてみると、「ああ、そういうつながりだったのか。」と合点がいくことがある。

その星が喜ばしい出来事であればよいのだが、特にグリーフ、すなわち大きな悲しみを伴う出来事において、この視点は、患者様にとってそして治療者にとって一筋の光、希望になりうる。

いまはとてもつらく、到底解決もできない。薬なんか無論薬に立たない。しかし、神様と呼ぶべきかどうかはわからないが、何か大きな力が働いていて、この起こった事については意味があるのではないか。いますぐの救いにはならなくとも、今回の出来事の意味は、あとから必ず見つかる可能性が高い。その意味を見つけるまでは、休むなり、逃げるなりして、とにかく命をつないでいく必要があるのではないだろうか――そうしたメッセージを伝えることは可能だと思う。

それは、逃げるための苦しい言い訳に聞こえるかもしれない。しかし、これは科学的に証明されたものではないにせよ、臨床経験上、たしかに感じ取られてきた事実である。だからこそ、窮地に立たされた患者様に対して、伝えうる言葉なのではないだろうか。

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