
先生、実は僕自身いつも不安を持っていて、悩んでいるんです。医師としての能力もそうですが、人生や将来についてあれこれと不安になって悩むことが多いのです。

あら、そうでしたか。個人差もありますが、そもそも私達医師は社会的役割として病人を助ける側ですから、どうしても「かくあるべし」「高い理想に近づかねば」(=神経症的認知)と考えがちですよね。
それによって過度にプライドが高くなってしまったり、かと思えば理想にいつまでも追いつけず自己愛が傷つき抑うつになったり、不安定になりますね。

森田療法のあるがまま、というフレーズは有名です。「不安をそのまま感じながら」「目の前の必要なことをする」という組み合わせがポイントです。
その過程(不安の受容と当面の作業をしている体が出会う場所)で、本能、生老病死の恐怖、他人からの承認欲、仏教的執着など、それらすべてを生の欲望であって自然なもの(生の欲望)として受け入れます。

そうか。不安は悪ではなく、そのまま受け入れればよいのか。そして目の前のことをやっていく。
不安の起源はいっけん恥ずかしいものや矛盾する欲望や恐怖だったりするけれど、それらは自然のものだから認めてよいのですね。

私も外来で専門用語を失念したり、冬に寒くて頭が働かなかったりするようになって、自らの老いを感じて焦った時期がありました。
森田療法を思い出し、老いに逆らわず自然と考えました。老いからくる不安もそのままにしました。
身体は老いていくが、不細工ながら目の前の診察を精一杯やるしかないとなると、患者様の役に立ちたい、周囲からありがとうといわれたいという気持ちが自分の内にあることにも気づきました。そういうやわらかい自然な魂の鼓動(生の欲望)をトクトクと体のなかで感じるようになったのです。

意地になって力まずに済んでいて、なんだか楽になるといいますか・・・、自然でいいなあ。自分にとらわれ、不安にとらわれ、理想ばかりにとらわれていました。

はい。もっとあるがままに気持ちよく生きていけますよ。
森田療法はマインドフルネスとよく比べられますが、森田療法は無心を目指します。その悟りをひらくまではまだまだ時間がかかりそうです(笑)。
逃げたくなる一面をもちつつも(これがすなわち、あるがまま)、前向きに自分を生かす行動をとることにします。
自分を生かす行動、自分の人生で成し遂げたいことのための行動をすれば、そちらへ注意が向き、もう一面への注意はうすらぐものです。
「かくあるべし」「オールオアナッシング」にとらわれないことです。そもそも人間が生きている現世というものは不条理で流転します。どれだけ徳を積んでも突然不治の病に侵されることもあるのです。
参考文献
1 森田療法の目指すところ 新村秀人 最新精神医学26巻6号(通巻第152号) 2 森田療法 岩井寛
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