目を強く閉じたまま、頭にモヤがかかったと話す高齢のおばあさん

目をギュッと閉じたまま「モヤがかかったように、頭がスッキリしない。」と訴える70歳のおばあさんが来ました。

あらぁ…かわいそう。

税金が払えなくなり住む家を失うという貧困妄想もありました。今までは身体も精神も大病を患ったことがない方です。

うつ病かしら。

はい。診察の結果、老年期うつと診断しました。 そして10mgくらいの少量のトリプタノールで速やかによくなりました。

三環系抗うつ薬ですね。古いお薬という印象があります。

たしかに今は副作用が少ない新しい抗うつ薬がたくさんありますから、トリプタノールを最初に処方することは少ないかもしれませんね。

しかし、私見でエビデンスには乏しいのですが、こういう方にはトリプタノールが効果あると思います。

高齢の方の場合、認知症との鑑別も重要になります。お薬の使い方はとても難しく、また精神療法も大事です。お困りの方はネットの情報に頼らず必ず病院に行きましょうね。また症例をご紹介するときはプライバシー保護のため個人を特定できないよう配慮しています。

チョっとくわしく
トリプタノールは抗コリン作用があり尿閉という副作用があります。このためか夜尿症にも適応があるユニークなお薬です。
抗コリン作用による眼圧上昇の副作用があるため、緑内障には禁忌です。
また中枢性の抗コリン作用として高齢者においてはせん妄、幻覚に注意すべきです。その理由は、脳内ではアセチルコリンとドーパミンは拮抗し合う物質ですので抗コリン作用によりドーパミンがふえるためと考えられます。
また抗コリン作用というのはアセチルコリンを遮断するわけですから、認知症・認知障害という副作用もでます。アセチルコリンを作る細胞がアルツハイマー型認知症の脳で減っていることを思い出せば理解しやすいと思います。
以上から高齢者にはむしろ処方しづらいお薬という印象があるかもしれませんが、なぜか症例でお示ししたようなタイプの老年期うつには少量のトリプタノールが著効する実感をもっています。 長期の処方が心配な場合は、急性期だけ使用してもよいかもしれません。

参考文献
1 抗コリン薬(パーキンソン病治療薬)の解説 https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8281.html
2 心の治療ハンドブック 


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