
大前提として、全人口の先天異常の割合が3~5%であること(ベースラインリスク)を念頭において考える必要がありますね。
その上で、妊娠と精神疾患の関係を考える時、病気そのものの影響と、薬物の影響と、二つにわけて考えましょう。

統合失調症に罹患りていることは産科合併症のリスクを上げますが、これはきちんと妊婦検診にいけないことなど行動特性のためかもしれません。
抗精神病薬の内服で先天異常や早産のリスクは上がりません。

うつ病についてですが、抑うつ状態そのものが胎児の発育に影響を与える可能性があります。
抗うつ薬については、SSRIと先天異常に関連がないとはいえないが、約1.2倍ていどであると言われています。

妊娠中はバルプロ酸、リチウム、ハロペリドール、ブロムペリドールは禁忌となります。カルバマゼピンも先天異常がおこりやすいといわれています。また睡眠薬、抗不安薬も内服しない方がよいでしょう。他の向精神薬はできるだけ単剤にするとよいでしょう。


先天異常のリスクが少しでもある向精神薬は、ただやめればよいというのではなく、妊婦さんの精神状態が安定していることも大事なので、両者のバランスで考えなければいけませんね。

産後うつ病は10%もの割合であるといわれ、産後2週間経過しても、うつ状態が継続する場合は精神科治療が必要でしょう。

お薬の使い方はとても難しいので、お困りの方はネットの情報に頼らずに必ず病院に行きましょう。
妊娠、授乳の薬の安全性のネット情報源として、周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド(http://pmhguideline.com/)、国立成育医療研究センター(https://www.ncchd.go.jp)、などがあります。
国立成育医療研究センターには「妊娠と薬情報センター」があり、全国57か所の病院とネットワークをつくっている。ホームページからアカウントを作成するとフェイストゥーフェイスのカウンセリングが予約でき、相談薬剤の安全性情報をえられる。
てんかん患者様が、単剤ではなく多剤の抗てんかん薬を服用していた場合に先天異常のリスクが増加するといわれています。ですから、妊娠中は抗てんかん薬をできるだけ必要最低量の単剤にし、多剤併用に注意する必要があります。
てんかんと妊娠について整理してみます。抗てんかん薬を服用していないてんかん患者様の子供の奇形出現率は一般母集団とほぼかわらず2-3%であり、妊娠第1三半期に抗てんかん薬に胎内暴露した場合の奇形出現率は5-6%といわれています。
奇形出現率が高いのはバルプロ酸ナトリウム、中程度なのがカルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、トピラマート、低いのはレベチラセタム、ラモトリギンです。
バルプロ酸ナトリウム服用中の母親から生まれた子供は用量依存性にIQ低下、自閉スペクトラム症、ADHDのリスクが高いといわれています。
てんかん患者様が妊婦になった場合、非てんかん患者様と比較して、葉酸が低値になる傾向が高いため、葉酸の補充にも注意する必要があります。
参考文献
1 精神科医が日常臨床で行うことができるプレコンセプションケア 根本 清貴, 菊地 紗耶 精神経誌. 125 (7): 601-606, 2023
2 国立成育医療センター プレコン・ チェックシート
3 プレコンセプションケア 産前産後のメンタルヘルス・精神疾患のケア 根本清貴、日本医師会雑誌 巻: 152 号: 6 ページ: 627-630 発行年: 2023年09月01日
4 産前産後の慢性疾患のケア―てんかん,免疫性神経疾患を中心に 清水優子 、日本医師会雑誌 巻: 152 号: 6 ページ: 631-635 発行年: 2023年09月01日
5 妊娠と薬情報センターの活用 藤岡 泉,村島 温子 精神科治療学 Vol.38 No.12 2023年12月号〈特集〉周産期メンタルヘルスケアの最先端
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