
ADHDと中枢性過眠症の合併が多いという報告があるね。

中枢性過眠症を簡単に分けると、①泣いたり笑ったりしたときに全身の力が抜けてしまう情動脱力発作があるナルコレプシー1型、②情動脱力発作がないナルコレプシー2型、そのほかの③特発性過眠症がありますね。

はい。
いままではADHDに睡眠の問題がある場合、それはADHDの行動特性による二次的なものとして考えられていましたが、そうではなくもしかしたら中枢神経機能と関係しているかもしれませんね。
ただしADHDとナルコレプシーが合併しやすいというのは早計かもしれず、ナルコレプシーに特異的なヒト白血球型抗原の特徴がADHDにはないという研究結果もあります。

成人で日中の眠気を訴えた場合、ADHDも鑑別として考える必要がありそうですね。

ADHDと過眠症が合併した場合、治療はナルコレプシーのモディオダール(モダフィニル)?、それともADHDのメチルフェニデート(コンサータ)などでしょうか?

ケースバイケースですが、ADHDの治療であるコンサータなどで過眠症もよくなることがあるようです。コンサータの副作用があればモダフィニルに変えることもできるかもしれませんね。

そうですか。
お薬の使い方はとても難しいので、お困りの方はネットの情報に頼らずに必ず病院に行きましょう。
概日リズム睡眠・覚醒障害とは、いわゆる太陽の動きと睡眠がずれていることです。夜更かしが続いてしまって昼夜逆転している場合は、概日リズム睡眠・覚醒障害のなかでも睡眠相後退症候群といわれます。概日リズム睡眠・覚醒障害は、ASDとの関係の研究が多く、ADHDとの関係についてはまだ少ないです。
またADHDには閉塞性無呼吸症候群(OSA, obstructive sleep apnea)の合併も多いといわれます。
さらにADHDにはむずむず脚症候群の合併も多いといわれ、むずむず脚症候群には周期性四肢運動障害が高頻度にみられます。つまりADHDにはむずむず脚症候群も周期性四肢運動障害も合併しやすいといえます。
周期性四肢運動障害とは睡眠中の周期的な不随意の四肢運動(20~40秒毎に不随意のピクピク)が繰り返しおこるものです。治療はむずむず脚症候群とほぼ同様です。
ADHDでは前頭葉におけるドパミン神経系の低活動が病態として考えられていますが、むずむず脚症候群ではドパミン神経系の異常や鉄代謝異常の関与が示唆されており、ドパミン神経系の異常で両疾患で共通しているものがあるかもしれません。
むずむず脚症候群の治療には鉄剤、ドパミンアゴニスト(プラミペキソール)や、抗てんかん薬のクロナゼパム(リボトリール)、ガバペンチン(ガバペン)、カバペンチン エナカルビル(レグナイト)などがあります。
むずむず脚症候群(レストレスレッグズ症候群)
参考文献
1 ADHDと過眠症 朝山 健太郎・他 臨床精神医学 第50巻第5号, 2022年5月, pp.415-422.
2 ADHDに併存する過眠 精神医学 64巻10号 (2022年10月発行)特集 精神・神経疾患に併存する過眠の背景病態と治療マネジメント 伊東 若子
3 注意欠如・多動症(ADHD)に併存する日中の眠気 伊東若子 臨床精神医学 53(1) 59-64 2024
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