
20代の「ひきこもり」のご息女を抱える父親から相談を受けましたが、どう支援したらよいでしょうか。

彼女が精神疾患圏、発達障害圏、その他のどれに該当するかをまず見当をつけましょう。
そして、家族も支援をうけられるし、生活を楽しんでよいのだ、ということを伝えましょう。
逆説的ですが”安心してひきこもりができる”事が自立のための第一歩だという考えもあります。

ひきこもりではない家族がクライアントとして医療機関を受診したり、同じひきこもりの経験をした家族どうしがあつまる集団プログラムに参加することができます。

家族どうしがあつまる集団プログラムでは、「先輩」家族から対応方法をおそわる家族教室や、家族どうしの分かち合いのためのグループワークがあります。

保健所はもちろん、ひきこもり地域支援センターや、地域若者サポートステーション(サポステ)、ジョブカフェなど医療機関だけではなくさまざまな支援機関との連携もとっていこうと思います。
以下に、回復のおおまかな道筋の一例をあげます。
安心・楽しい・ほっとする → 体調リズムの回復 → 自分を否定しない人がいる・居場所仲間の再発見 → 自分を評価してくれる人がいる → 自分でもできることがある → 目標の修正
子どもの不登校やひきこもりの背景には精神疾患が一次的にも二次的にも関与している場合があります。
不安症を子どもが抱えていた場合、薬物療法はどうすればよいのでしょうか。
以下に一つのアルゴリズムを紹介します。
1,SSRIを試す。全般不安ならセルトラリン、抑うつがない社交不安ならパロキセチンなど。
2,2種類のSSRIを使って効果がなければ、SNRIや三環系をためす。
3,ミルタザピンを単剤、もしくは補強療法としてためす。
4,ベンゾジアゼピン系抗不安薬をためす。
参考文献
1 ひきこもり状態の人をかかえる家族への支援 波床 将材 精神医学 64巻4号, 2022年4月, pp.415-422.
2 ひきこもり・不登校と精神科薬物療法と心理社会的治療、著者: 平 理英子, 渡部京太、出典: 臨床精神薬理 Volume 25, Issue 3, 253 – 258 (2022)、出版社: 星和書店
3 外来診療場面での家族心理教育の応用 後藤雅博、精神療法 第47巻第6号 夫婦・家族療法の実際 (単行本)、2021/12/07
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