
子どもの統合失調症に対する抗精神病薬はDSAのブロナンセリン(ロナセン)だけが保険適用になっていますね。

実際の臨床では子どもに対しても成人の治療アルゴリズムを使うこともあります。

となると、ファーストラインはSGA(第二世代)ですね。

はい。FDAは13歳以上の統合失調症についてリスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン(インヴェガ)、オランザピンを承認しています。

お薬の使い方はとても難しいので、お困りの方はネットの情報に頼らずに必ず病院に行きましょうね。
子どもならではの特徴として成長発達を反映して症状が不鮮明で漠然であり、すぐには確定診断に至らずしばらくARMS(at risk mental state、アットリスク精神状態)という状態像で経過を追わなければいけないかもしれません。ARMSとは精神病発症危険状態を言いますが、統合失調症に高率で移行する訳ではありません。ARMSの段階で何らかの介入をして顕在発症を防ごうとする試みは残念ながらうまくいってないようです。本邦では自生体験、気づき亢進、漠とした被注察感、緊迫困惑気分を四兆としてまとめられた初期分裂病の概念があり、こちらは薬物治療が推奨されます。子どもは統合失調症ではなくとも幻聴や妄想を認めやすいことが広く知られており、被虐待児などでも精神病症状が認められます。
子どもでも成人と同じくDUP(duration of untreated psychosis)が長いと予後は悪くなります。ここまでで子どもの統合失調症の診断は慎重にすべきであるが薬物治療のタイミングを逃さないためにARMSをうまく支援することが重要といえます。
本邦に子どもの統合失調症の薬物治療ガイドラインはなく、SDAのブロナンセリン(ロナセン)だけが保険適用になっています。実際の臨床では体重増加、脂質代謝異常、高プロラクチン血症などの副作用に気を付けながら、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン(インヴェガ)、オランザピンなども治療の選択肢になります。メタ解析の結果などからは、抗精神病薬同志の比較ではクロザピンを除いて有意差はなく、副作用プロファイルだけが違うという結論だからです。子どもは体重増加、脂質代謝の副作用に脆弱であることは留意すべきです。
参考文献
1 子どもの統合失調症の薬物治療について (特集 子どもの精神科薬物治療について考える) 吉村 裕太、宇佐美 政英 精神科治療学 36(10), 1157-1163, 2021-10 星和書店
2 初期分裂病 中安信夫著
3 早期発症統合失調症の薬物療法 著者: 岡田 俊 臨床精神薬理 Volume 25, Issue 3, 241 – 244 (2022)
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