抗不安薬はいつ依存や耐性ができるか

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、約3週間で依存が生じ、約6か月以上で耐性が生じるといわれています。

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実際の薬物療法はとても難しいので、お困りの方はネットの情報に頼らずに必ず病院に行きましょう。

チョっとくわしく
まず不安症について整理してみます。
DSM-5では従来の不安症が「不安症群」としてまとめられ、そこには「パニック症」「広場恐怖症」「社交不安症」「分離不安症」「選択性緘黙」「限局性恐怖症」「全般不安症」などが含まれます。
不安症の治療ガイドラインには、BAP(British Association for Psychopharmacology)、WFSBP(World Federation of Societies of Biological Psychiatry)、「パニック障害の治療法の最適化と治療ガイドラインの策定に関する研究班」などによるものがあります。

不安症の第一選択薬はSSRIかSNRIです。パニック症にはクロミプライン(アナフラニール)、全般不安症や社交不安症にはプレガバリン(リリカ)が第二選択薬としてあげられます。
社交不安症については、パキシルとクロナゼパムの併用や、ロラゼパムの効果も報告されています。社交不安症へのSSRIについては用量反応性があります。

個人的にパニック症にはSSRIと考えがちだったのですが、ベンラファキシン(イフェクサー)のようにSNRIでもパニック症に有効なものもあります。不安についてβブロッカーを使う医師もいるかもしれませんが、ガイドラインでは少なくともパニック症についてプロプラノロールは推奨しないとされています。パニック症の薬物療法による寛解率と再発率は20-50%、20-85%であり(3)、寛解しにくく再発しやすい慢性疾患であるといえます。

不安症に用いる抗うつ薬の用量についてのメタ解析(過去の研究の統合)やシステマティックレビュー(一定の基準や方法論をもとにされた質の高い臨床研究)は少ないため気分症に対する抗うつ薬の最適な用量を考えてみます。
一般的に三環系やSNRIにおいては用量依存的に有効性が増えるとされますが、SSRIでは副作用による脱落も多く増やせば増やすほどよいということではなく、中等量(fluoxetine換算で40mg.日)で効果がプラトーになり、そこがちょうどよいバランスの用量といえるかもしれません。

抗不安薬には、ベンゾジアゼピン受容体作動薬とアザロピン系(セディール、タンドスピロン)があります。ベンゾジアゼピン受容体作動薬(以下BZ系薬)はうつ病や統合失調症への主剤の効果がでるまでの対症療法として使用されます。

BZ系薬は依存や耐性のほか、認知機能の低下といった副作用があります。どのガイドラインでも「必要最小量」「長期投与をさける」ことを推奨しています。

BZ系薬の用量を考える際、ジアゼパム換算が有用です。ジアゼパム換算で15-20mg ジアゼパム換算量をこえると高用量といえるでしょう。

高齢者にBZ系薬を利用する際は転倒やせん妄にも気を付ける必要があります。

参考文献
1 抗不安薬の用量 著者: 上村幸正, 姜 善貴, 稲田 健 出典: 臨床精神薬理 Volume 25, Issue 12, 1331 – 1336 (2022) 出版社: 星和書店
2 不安症における抗うつ薬の適正用量 著者: 大坪天平 出典: 臨床精神薬理 Volume 25, Issue 12, 1323 – 1330 (2022) 出版社: 星和書店
3 治療ガイドラインの限界と私の治療:パニック症、著者: 塩入俊樹、出典: 臨床精神薬理 Volume 25, Issue 6, 639 – 646 (2022)
4 社交不安症の薬物療法、著者: 藤井 泰, 朝倉 聡、出典: 臨床精神薬理 Volume 25, Issue 6, 647 – 652 (2022)、出版社: 星和書店



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