
当たり前ですが、精神療法はことばを使ってされます。ことばとは喉や唇により発せられますから、広くいえば体の動き、筋肉の働きによるものです。
精神療法は、相互の「精神」間で行われるものではなく、必ず体、身体が仲介されるということです。

当たり前といえるかもしれませんが、改めて指摘されますと、大きな気づきになりますね。
患者様は体験を語るわけですが、体験とは質と量で構成されています。
本人の内=質、本人の外=量といえて、両方とも大切ですが、本人の体験の内=質の部分を引き出してあげる必要がありますね。
現代社会は、量的なことば、理系であり工場的なことばが覆いつくされていますからね。

はい。例えば仕事について語るとき、「残業20時間」「上司と部下にはさまれている」「ブラックで嫌いな仕事」など数字やカテゴリカルなことばは、体験の外=量についてのことばです。

体験の内=質のことばとしては、たとえば「いつも誰かにじーっと見張られているきがして、そんなことないんでしょうけど、さっさ、さっさと仕事を片付けろっていう圧を背中で感じてしまうんです。そういう時は時間がとまっていて、いくら仕事をしても帰れないんです。」という感じでしょうか。

そのように生き生きとした質的なことばを発せられる方は、予後も良い印象がありますね。
質的なことばを蘇らせるために、必ずしも質的なことばだけでアプローチする必要はありません。
ことばの身体性、つまり、リズム、声色、抑揚、ひびきなどに注目するとよいと思うのです。
さらに量的なことば、カテゴリカルなことばを意図的にあやうくさせるために、中間の世界、たそがれやロールシャッハテスト中のような、はっきりと時間や場所を特定できない雰囲気もよいかもしれません。
参考文献
1 ことば遣いの身体性の自覚─譚ものがたりを織り上げる力を自在にするための二つの論理(質の論理と量の論理)─ 前田貴記 精神科治療学 第40巻06号 2025年06月
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